ばら祭り
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  5月は祭りの季節です。東日本大震災のため、イベントは自粛ムードですが、それでも各地で祭りが開催されました。 自粛自粛では経済に悪い影響を与えるからと、思考を凝らしながらの開催です。 博多どんたくでは、「がんばろう!!日本」の掛け声で230万人(5月3・4日)、広島フラワーフェスティバルでは169万2千人(5月3・4・5日)と大勢の人で賑わっています。   当地、福山市でも、5月14・15日と「ばら祭り」が盛大に開催されました。 今冬の寒さの影響で、バラの開花は、1〜2週間遅いのですが、それでも大勢の人で賑わったとのことです。 天気が良かったせいでしょうか、主催者の発表では、2日間で81万人と発表されていました。(写真は昨年のバラ祭り。)
  それにしても、これら祭りの参加者の数字はどうやって数えているのでしょうか。 以前、NHKの紅白歌合戦では、赤の人と、白の人の数を、バードウオッチィングの人が数えていましたが、昨年行ったばら祭りではそんな場面には出くわしませんでした。 今年は、昨年に比べて1万人増えている?1万人の数字はどうやって数えたのでしょうか。数えていないとしたら、逆にどうやって参加者の数を割り出したのでしょうか。
  ホームページに、以前書いたことがありますが、どのようにして算出したのか数字には根拠が必要です。 一般に、昔から、主催者発表と警察発表では大きな開きがあることは感じていました。 とくに、デモ行進などは、主催者の発表と警察の発表では一桁違っていたように記憶しています。 最近では、警察発表もあまりないようですが。どうやって、参加者数を調べたのでしょうか、素朴な疑問です。
  過去の数字を追ってみますと、市制90周年の2006年は84万人で、最高の人出を記録したとか。 2007年は83万人、2008年は84万人、2009年は雨の影響で62万人、昨年は80万人、今年は自粛ムードの中でも81万人の人出とのことです。 ちなみに、来年は天気ならば82万人位になるのでしょうか?
  ある会社で、今年の4月に昨年の「ばら祭り」には行かれましたかと聞いたら、 32人中8人の方が祭りに行ったとの回答でした。 しかし、2日間にわたっての参加者はゼロでした。4人に1人の参加です。 これだけみても、発表の数字とはあまりにもかけ離れた実態なのではないでしょうか。 いくら、お祭りだ、多めにいっても損をする人はいない、 参加者を多く発表した方が祭りのイメージも上がるし福山市の宣伝にもなる、 そして、観光にも一役買うことになるとはいえ、もしそうだとすれば、考え直すべきだと思うのです。 数字がチャントすれば、すべてがチャントしてくるのです。 81万人という数字は、福山市在住の人の参加で占めていると仮定すれば、福山市の人口は、約46万5千人ですから、87%の人が2日にわたって参加したという数字です。 もちろん、ばら祭りも有名になりましたから、市外の参加者もかなりの割合をしめるのかもしれませんが。 市の観光課の発表どおりであれば、市内は空き巣の稼ぎ場、バスや電車は超満員、神辺や駅家の人がこぞって参加すると幹線道路は大渋滞になるはずです。 一度、実数との乖離を調査されては如何でしょうか。
  実は、福山市に調査方法で提案したいと思っていることがあります。 これを、市の担当者が見られたら考えて頂きたいと思います。 内閣の支持率調査が定期的に行われますが、 この調査は、国民の考え方を、1500から2000のサンプル数を 無作為に選ぶことによって推定しています。 この方式を取り入れて調査したらどうでしょうか。
  表−1が、母集団の数と許容誤差の関係ですが、この関係をもとに政党支持率などは調査しています。 つまり、一億人以上でも、許容誤差が±2.5%ならば1600サンプルでよいということです。 図―1・2は、算出の計算式と記号の意味です。
  ばら祭りの参加者の構図は、図−3のように表すことが出来ますので、 図−4のような計算をします。 そのためには、福山市に在住している人に、参加の有無を調査します。 サンプル数は400人、無作為に選び、電話アンケートなど実施します。 2日間の参加者は2ポイントとし、参加者の比率を市の人口に掛けますと 福山市の参加者数が算出できます。 他都市からの参加者もいますので、祭り当日、現場で400人にアンケートを調査します。 どこから来られましたか、福山市ですか。 400人を福山市と回答した人の数で割り、この値を福山市の参加者に掛けます。 政党支持率ほど許容誤差は小さくありませんが、それにしても数字に対する信頼度は上がるはずです。 一度検討してみてはどうでしょうか。 しかし、市民からは、「無駄なことにお金を使うな。そんな数字どうだっていい。実態が分かったから何だって言うんだ。」と、お叱りを受けるのが正解かも。 (表−1、図−1・2、考える技術としての統計学・飯田泰之)