パリの偽警官
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 7月31日からロンドンとパリのツアー旅行に行ってきました。 暑い日本を離れて、涼しいヨーロッパでひと時を過ごすことができました。 パリは2回目ですが、イギリスは初めてでした。 ことの発端は、孫の子守りが始まると長期の旅行が出来なくなる、 それならば行きたかったところへ行っておこうということです。 そして、前回訪れることのできなかったモンサンミッシェルへ行きたいというのがこのツアーを選んだ理由でした。  
 イギリスは、フランスに比べあまり関心を持っていませんでした。 食べ物が美味しくない、観光地もそれほどないと聞いていたからです。 一方、フランスのパリは芸術の都という思いがありました。 しかし、イギリスは英語圏の総元締めで、留学と言えばイギリスです。 そして、オックスフォード大学もあり学問や文学の都でもあります。 予想通り、オックスフォードやシェークスピアの生地の地も訪れるこのツアーは満足するものでした。 実際に、これらの地方やロンドン市内を観光すると、 世界を知るにはイギリスを見ておかねばならないということを肌身で感じることができました。 そして、エリザベス女王の居城であるバッキンガム宮殿を見学すると大英帝国イギリスの偉大さをひしひしと感じることができました。 さて、前置きはこれぐらいにして、旅の様子は「ロンドンパリ8日間の旅」をご覧ください。 
 実は今夏の旅で2件ほど噂に聞いていた危うい事態に遭遇しました。 それについてお話したいと思います。
 1件目は、パリのオペラ座の近くの交差点でのことです。 オペラ座正面の写真を撮っていると、いつの間にか、 5・6人の黒髪の若い女性集団に「サイン」「サイン」と言って囲まれました。 気配もなく一気に迫ってくる異様な雰囲気に驚いて 「No!」「No!」と大声で叫んで走って集団を離れました。 サインをすると、お金を寄付しなければならない羽目になってしまうか、 サイン中に財布をすられると、添乗員から聞いていました。 集団で押し迫ってくる彼女らの行動は、日本的な控えめな署名活動とは違い、 異様な恐怖感を感じ、何のサインか考える余裕もなく逃げました。
 もう1件は、パリのデパート、ギャラリー・ラファイエットの開店までに時間があったので、 サントトリニテ教会へ行った時のことです。 教会前の交差点を渡ってさてどちらへ行こうかとしていたら、 サンテトリニテ教会の写真を撮っていた外国人と思われる旅行者が、地下鉄入口の案内図の前で話しかけてきました。 さっぱり何を言っているのか分かりませんでした。 話せないと英語で応えてもまだ話しかけてきました。 その時突然、横にがっちりとした二人の男が立ち、 ポリスだと顔写真付きの身分証明書を見せ、そして、パスポートを見せろといったのです。 我々は、「私服の警察官?」「え!」「なぜ?」がという思いはありましたが、旅行者はカードを出しました。 パスポートじゃないが?なとは思いながら、我々もつられてベルトで腹に巻いた袋からパスポートを出しました。 次に、「OKだ。ユーロを見せろ」言いました。家内は疑って「ポリス?」と聞きました。 再度、警官は身分証明書を見せました。顔写真入りの証明書、警察らしき金色の紋章が輝いていました。 家内は前向きにかけたリュックから、鎖の付いた財布の7〜8千円分のユーロを見せました。 すると、今度は、「円をもっているか」と。 お互い数万円を持っていましたが、これはやはりおかしいと思い、家内が「No!」、私も「No!」。 そうすると、「行ってOK」と解放されました。 
 その後、二人で事件を検証したことです。 がっちりとした2人は偽警官で、 外国人風の旅行者はその仲間で警戒心を和らげるための「おとり」ではなかったかと。 高額なお金を持っていれば、旅行者が掴みとって逃げる、 それを偽警官が追いかけるという筋書きではないか。 あるいは、高額な金額が財布に入っていると、旅行者が何か演技をし、そのすきに抜き取ったり、 すったりするのではないか。そしてまた、本当に、私服のポリスがいるのか、 ごく普通の日本人旅行者を見分けることができない警察官がいるのか、 パスポートを見せろ、お金を見せろということがあるのか等々。 よく考えればあり得ない警察管の尋問です。 ついつい、外国人風の旅行者の対応につられて行動を共にしてしまった。 「ポリスボックスで話がしたい」、「大使館へ行こう」と言わずに、 パスポートやお金を見せたことがしごく残念です。 しかし、鎖つきの財布は防犯効果があったようです。 帰国して、パリの日本大使館のHPを見るとそっくりの内容がありました。
 歌の文句じゃないけれど、騙した方が悪いのか、騙された方が悪いのか、 被害はなかったものの後味の悪い残念でならない事件でした。 今回のツアーで1名の方が財布をすられました。 抜き取られなかっただけでもよかったと思うべきでしょうか。 イギリスでは監視カメラが至る所にありますが、 フランスもこれだけの被害があるのですから、対策を考えた方がいいのではないでしょうか。 そして、人間知識は持ち合わせていても、訓練を積んでいないと異常事態に遭遇した時に、 あわてて適切な判断ができません。 このような事件にもう引っかかることはないと思いますが、 囲まれて強奪されることは起きうることです。 この点は肝に銘じて、危険に近寄らないようにしたいと思います。 プロのスリは巧みなマニュアルのもとに上の上を考えて騙そうとしているですから。